GIRO 現地連載レポート

         
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【ジロ・デ・イタリア2015現地レポート】Report & photo:Kei Tsuji

2014年に引き続き2015年もフォトグラファーの辻啓さんによる現地レポートを計5回で掲載致します!

実はシクロクロスではリドレーを愛用して頂いております!

そんなリドレーを知り尽くした辻さんからのレポートお楽しみください。

【ジロ・デ・イタリア2015レポート第1回】Report & photo:Kei Tsuji 

ピンク色に染まったサンレモで第98回ジロ・デ・イタリアが開幕を迎えます。3週間で走りきる距離は3,486km3週間の総獲得標高差が43,000mに及ぶ厳しい戦いに、リドレーに乗ったロット・ソウダルの9名の選手たちが挑みます。5回にわたってお送りするレポートの1回目は、サンレモのカジノで行われたチームプレゼンテーションの模様を中心にお伝えします。

2015年のジロ・デ・イタリアの開幕地はサンレモ。イタリア北西部のリグーリア州、フランス国境やモナコに近いリゾートタウンで、世界最長クラシックレースであるミラノ~サンレモのフィニッシュ地点として自転車ファンにもお馴染みの街です。

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開幕を翌日に控えた58日にはチームプレゼンテーションが開催。ロット・ソウダルを含む22チームの選手たちがステージに上がりました。

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ロット・ソウダルはスプリンターのアンドレ・グライペル(ドイツ)と、2008年に総合7位に入ったユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)のダブルエース体制。特に直前のツアー・オブ・ターキーでステージ優勝を飾ったドイツチャンピオンのグライペルは好調で、「若いドイツ人選手の台頭が著しいけど、自分には経験があり、ステージ優勝数も多い。これまでに積み重ねたさらにその記録を伸ばしたいと思う」と語っています。

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グライペルはジロに2008年と2010年に出場。いずれの年もステージ優勝を飾っています。平坦ステージだけではなく、他のスプリンターたちが苦しむ中級山岳ステージもこなしてしまう登坂力を兼ね備えているため、多くのチャンスが巡ってくると予想されます。

 

平坦ステージでは経験豊かなグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)らがグライペルのスプリントを支え、山岳ステージでは2011年ブエルタ・ア・エスパーニャで総合6位に入ったマキシム・モンフォール(ベルギー)らがファンデンブロックをサポート。

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他にもグランツール連続出場中の"鉄人"アダム・ハンセン(オーストラリア)や、逃げ切りでのステージ優勝経験があるラルスイティング・バク(デンマーク)が揃っています。平均年齢は比較的高めですが、ルイス・フェルファーク(ベルギー)は今大会で3番目に若い217ヶ月での出場です。

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ロット・ソウダル ジロ・デ・イタリア出場メンバー

100. ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)32

101. サンデル・アルミー(ベルギー)29

102. ラルスイティング・バク(デンマーク)35

103. スティグ・ブロークス(ベルギー)24

104. アンドレ・グライペル(ドイツ)32

105. アダム・ハンセン(オーストラリア)33

106. グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)38

107. マキシム・モンフォール(ベルギー)32

109. ルイス・フェルファーク(ベルギー)21

 

開幕を前にファンデンブロックは有力選手として記者会見に出席。以下のように答えています。

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Q. ジロ・デ・イタリアに戻ってきた気分は?そして大会を通した目標は?

A. 2008年以来しばらく出場していなかったけど、またイタリアレースを走ることができて嬉しい。若い時にイタリアに住んでいたことがあるからイタリアとは結びつきがあるんだ。まずは初日のチームタイムトライアルをトップ10以内でスタートさせたい。そこからは毎日様子を見ながらの走りになる。

 

Q. 一番のライバルは誰?

A. もちろん優勝候補と呼ばれている選手達(コンタドールやポート、ウラン、アル)はみんな強力だ。彼らの後ろ、つまり総合4位か総合5位を争う選手達が現実的なライバルになる。誰と争うことになるのか、こればかりはレースが始まってみないと分からないよ。

 

ジロ・デ・イタリアは59日、海岸に沿った自転車道を走る17.6kmのチームタイムトライアルで幕開けます。3週間よろしくお願いします!

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【ジロ・デ・イタリア2015レポート第2回】Report & photo:Kei Tsuji

ジロ・デ・イタリア初日はリヴィエラの海岸線を走る17.6kmのチームタイムトライアル。9名全員でスタートし、隊列を組んで平坦コースを走り、5番目にフィニッシュした選手のタイムがチームの成績に反映されるというチーム競技で幕開けた。

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「自分のミスでチームが崩れるかもしれない」というチームタイムトライアル直前の選手たちの緊張感は、個人タイムトライアルの数倍はあるように感じる。ロット・ソウダルの選手たちは、わずか1mの距離に立つ観客にカメラを向けられながらローラー台でアップし、打ち合わせ通りの隊列で20分に満たない高強度&高速レースをスタートさせた。

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ロット・ソウダルの成績は、トップのオリカ・グリーンエッジから29秒遅れの12位。抜群のタイムとは言えないが、大きなトラブルに見舞われることなく安全に、着実に、総合狙いのユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)をフィニッシュまで連れて行った。向かい風基調だったにも関わらず、平均スピードは53.021km/hに及んだ。

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昨年のレポートで彼のことを掘り下げたので詳しい説明は割愛するが、ハンセンはグランツールに17回出場して14回完走。2011年のブエルタ・ア・エスパーニャ以降のすべてのグランツールに出場&完走を果たしており、つまりこのジロが11連続グランツール出場となる。

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1年ですべてのグランツールを完走した選手は歴史上32名いるが、連続出場記録を打ち立てる選手はそう多くない。仮にハンセンが2015年のグランツールをすべて完走すると、4回目の全グランツール完走というスペインのマリノ・レハレタ(1987年、1989年、1990年、1991年)の記録に並ぶ。

 

「どこかの研究によると、1回グランツールを完走すると寿命が平均5年伸びるらしい。だからもう僕は不死身だ」と笑いながら話すハンセンは相変わらずリラックスしてジロに挑んでいる。「それに、今のレーススケジュールには満足しているんだ。1月にオーストラリアのレースに出て、その次が4月のツアー・オブ・ターキー。そこから3つのグランツールが続く。レース出場中は料理や掃除、洗濯などの家事から解放される。だからグランツールに連続出場するのは悪くない」。

 

そんなハンセンやグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)にアシストされて、アンドレ・グライペル(ドイツ)が大会2日目の集団スプリントに参加した。2%ほどの登り勾配で早めにスプリントを仕掛けて先頭を走ったものの、後続に追い抜かれてステージ3位に終わっている。

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「ジェノヴァの市街地を走る周回コースは落車が多発して混沌としていた。作戦通りハンセンとヘンダーソンにアシストされてスプリントを開始。前を塞がれるのが怖くて早めに仕掛けたけど、結果的には仕掛けるのが早すぎて、残り50mでライバルに追い抜かれてしまったんだ。スプリントに向けた流れや脚の調子は良かったので、次は勝ちたい」とグライペル。今大会にはスプリンター向きのステージが合計78ステージ設定されており、グライペルは次なる目標に向けて気を引き締めた。

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 いよいよ本格始動したジロは1週目にかけてイタリア半島を南下。次回のレポートは1回目の休息日にお届けする予定です。

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【ジロ・デ・イタリア2015レポート第3回】Report & photo:Kei Tsuji

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がステージ1勝!大集団スプリントに持ち込まれる平坦ステージが少ない第98回ジロ・デ・イタリアで、「ゴリラ」ことグライペルが貴重なチャンスをものにしました。ナーバスなステージが続いた1週目を振り返ります。

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中級山岳コースが多く取り入れられたジロ1週目。ロット・ソウダルは総合狙いのユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)を援護しながら、積極的に逃げグループに選手を送り込み、集団スプリントになればグライペルで勝負する作戦に出ました。

 

「アンドレ・グライペルのステージ優勝は選手やスタッフのモチベーションアップにつながった」と語るのはロット・ソウダルのバルト・レイセン監督。

グライペルは大会最初のスプリントに持ち込まれた第2ステージで3位に入って手応えを得ると、第6ステージでアダム・ハンセン(オーストラリア)とグレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)の最速トレインに発射されて勝利。平坦なハイスピードスプリントで他を寄せ付けませんでした。

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「朝のミーティングで決めていた通りに最終コーナーを先頭で抜け、アダム・ハンセンが残り1.1kmからリードアウトをスタートさせ、先頭を引き継いだグレゴリー・ヘンダーソンが残り600mで発進し、そのまま先頭をキープしてスプリントの発射台になってくれた。まさにチームの勝利だ」と、2008年と2010年に続くステージ優勝を飾ったグライペルは語っています。

 

グランツール連続出場中のハンセンは34歳の誕生日に行われた第3ステージで逃げに乗ったものの、フィニッシュ手前で吸収されてバースデーウィンならず。それでも持ち前の安定感は抜群で、毎年出場していることもあってイタリアでは馴染みの存在になっています。もちろん足元は今年もオリジナルのカスタムカーボンシューズです。

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ハードな1週目を終えた選手たちは第9ステージ終了とともに350km離れた休息の地に大移動。イタリア東部のマルケ州でまったりとした1日を過ごし、英気を養いました。

 

マリアローザを懸けた総合争いにおいてはファンデンブロックが333秒遅れの総合16位、マキシム・モンフォール(ベルギー)が400秒遅れの総合17位。総合争いはコンタドール、アル、ポートの三強が飛び抜けている印象ですが、今後の走りによってはファンデンブロックとモンフォールが総合トップ10入りすることも考えられます。

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 「休息日明けの第10ステージは平坦なので再びグライペルで勝負を狙う。イモラのサーキットにフィニッシュする第11ステージもスプリントに持ち込まれる可能性はあるが、逃げにもチャンスがあるのでアダム・ハンセンの出番になるかもしれない」と話すのはレイセン監督。ジロの2週目はチヴィタノーヴァ・マルケからフォルリまで200km走る第10ステージで始動します。

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【ジロ・デ・イタリア2015レポート第4回】Report & photo:Kei Tsuji

ドロミテの山々が牙をむく マリアローザ争いはサバイバルレースに

いよいよジロ・デ・イタリアも後半戦。ロット・ソウダルはユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)とマキシム・モンフォール(ベルギー)の総合成績にフォーカスしながら、同時にステージ優勝を狙う走りに徹しています。
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休息日を挟んでジロ第2週目はイタリア東部のマルケ州でスタート。集団スプリントでステージ1勝を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ)は引き続きステージ優勝を狙いましたが、例年以上にアップダウンが組み込まれたコースにピュアスプリンターたちは苦しめ続けられました。
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落車の影響でスプリントに絡めず13位に終わった第13ステージを最後にグライペルはジロを離脱。
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厳しい山岳と悪天候が予想される第3週目を走らずに帰国し、すでに開幕まで5週間を切っているツール・ド・フランスを見据えてトレーニング期間に戻っています。

グライペルのリタイアによってロット・ソウダルはユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)とマキシム・モンフォール(ベルギー)の総合成績に集中。59.4kmという超ロングコースで行われた第14ステージの個人タイムトライアルでファンデンブロックはステージ7位という好成績を出し、総合13位から総合5位まで一気にジャンプアップしました。
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「総合狙いの選手たちの中で自分より速いタイムでフィニッシュしたのがマリアローザのコンタドールだけなんて驚いたよ」とファンデンブロックは驚きと喜びのコメントを残しています。「タイムトライアルのトレーニングの成果が出たし、ジロの2週目にコンディションを上げる作戦が功を奏している」。
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しかし1級山岳マドンナ・ディ・カンピーリオの山頂フィニッシュが設定された第15ステージでファンデンブロックは落車の影響で集団から脱落。その日だけで5分47秒失ってしまい、総合11位にダウンしてしまいました。
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ロット・ソウダルのバルト・レイセン監督は「ユルゲン(ファンデンブロック)とマキシム(モンフォール)は山岳で良い走りを見せている。しかしテクニカルな下りで前走者が落車した影響でユルゲンが転倒してしまい、そこで集団から脱落してしまった。懸命に追走したものの追いつかず、最後のマドンナ・ディ・カンピーリオの登りでタイムを失ってしまったんだ。調子が良かっただけに残念でならない」と、無念のステージを振り返っています。

「幸いユルゲンの落車の影響は大きくない。肘に擦過傷を負い、背中を打ったものの、今のところ問題はなさそうだ。そして翌日が休息日だということが彼に味方している。まだまだ彼の闘志は衰えておらず、総合トップスリーを除いてまだまだ順位は動くはず。それにまだ厳しい山岳ステージが4つも残っているから挽回してくれるだろう」。

落車に苦しめられたファンデンブロックに代わって、ステージ11位に入ってチーム内総合トップの総合8位につけたのがモンフォール。「ユルゲンの脱落は残念だったが、マキシムの存在も忘れてはならない。彼には落車で遅れたユルゲンを待たずに集団に残るよう指示を出した。その作戦によって総合8位という素晴らしい成績を残している」とレイセン監督。
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モンフォールは2014年ジロ総合14位に入ったオールラウンダーで、グランツールの過去最高位は2011年ブエルタ・ア・エスパーニャで残した総合6位。ドロミテとアルプスの厳しい山岳ステージが連続する第3週目でファンデンブロックとともに総合トップ10フィニッシュを目指します。

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【ジロ・デ・イタリア2015レポート最終回】 Report & photo:Kei Tsuji

アルプスに挑んだモンフォールとファンデンブロック。ハンセンが11連続グランツール完走。

過酷な3486kmにおよぶ闘いを終えてミラノに到着したのは163名の選手たち。その中には11連続グランツール完走という途方もない記録を打ち立てたアダム・ハンセン(オーストラリア)の姿も。マキシム・モンフォール(ベルギー)とユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)が総合順位を狙って動いたジロ・デ・イタリア最終週を振り返ります。

ジロの最終週は厳しい山岳が連続するのが通例。2015年の第98回大会も例外ではなく、2回目の休息日を終えた選手たちを待っていたのは第16ステージ、イタリア有数の難易度を誇る1級山岳モルティローロ峠が設定されたクイーンステージ(最難関ステージ)でした。
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その後もアルプス山脈マッターホルンの中腹に位置する1級山岳チェルヴィニアにフィニッシュする第19ステージや、未舗装路の登りが延々と続くチーマコッピ(大会最高地点)フィネストレ峠を越える第20ステージが連続。すでに3週間近く走り続けている選手たちの身体は悲鳴をあげます。たっぷりと蓄積している疲労からのリカバリーが鍵を握るサバイバルレース。ステージ1勝を飾ってジロを離脱したアンドレ・グライペルのいないロット・ソウダルは、モンフォールとファンデンブロックの総合成績ならびに逃げによるステージ優勝を目標に据えて連続山岳ステージに挑みました。

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総合8位と総合11位で3週目を迎えたモンフォールとファンデンブロックは1級山岳モルティローロ峠でライバルたちに先行を許してしまい、総合11位と総合12位にダウン。そこから力を合わせて挽回を図ったものの総合トップ10入りの壁は高く、実質的な最終決戦地フィネストレ峠を終えてもジャンプアップできず。総合11位と総合12位のまま終着地ミラノにフィニッシュしました。

「すでに3週間走って疲れきった身体で登るフィネストレ峠は厳しいの一言だった。総合ライバルが調子を落としているのを確認したのでペースアップ。30秒ほど稼いだものの、総合順位を上げることは出来なかった。自分の中で最高のコンディションで挑み、総合11位という成績を残したことは嬉しくもあり、悔しくもある。総合トップ10入りまであと一歩だった」と、3週間の闘いを終えたモンフォールはコメントしています。

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「このジロにおける我々の目標はステージ1勝と総合トップ10入り。1週目に素晴らしいチームワークでステージ1勝の目標を達成した。出場した22チームの中でステージ優勝に手が届いたのは11チームのみ。だから結果には満足すべきだと考えている」と3週間を総括するのはロット・ソウダルのレイセン監督。
「モンフォールは前年の総合14位を上回る総合11位。そしてファンデンブロックは落車に苦しんだステージもあったが、長距離タイムトライアルで好成績を残して総合12位。この厳しいジロで健闘したと評価している」。

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同時に、イタリア国内でも注目を集めたのがグランツール11連続グランツール完走のアダム・ハンセンでした。「別に記録を作るために走っているんじゃないよ」。"鉄人"の異名をもつハンセンは笑いながら偉業について語ります。

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連続完走記録は1950年代にスペインのベルナルド・ルイスがマークした12連続。「落車やトラブルが発生するグランツールを例えば13大会連続で完走なんて出来たらスーパー・ラッキーだね」。

ハンセンの目標は完走することではなく、チームメイトをアシストし、チャンスがあればステージ優勝を狙うこと。今大会も平坦ステージではグライペルのリードアウト要員として働き、山岳ステージではモンフォールとファンデンブロックに仕え、第17ステージではそのスピードを生かした逃げでレースにスパイスを与えました。

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5月のイタリアを駆け回ったジロも終了。4週間後にはツール・ド・フランスが始まります。

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「アダム・ハンセンの8連続グランツール挑戦」
グランツール8連続完走の偉業にリドレーと共に目指すアダム・ハンセンの2014ジロ・デ・イタリア現地レポートを(開幕前、第3ステージ後、第9ステージ後、第15ステージ後、閉幕後の予定で)辻啓さんに届けして頂きます。現地の生情報などなど楽しみですね!!


今年もジロ・デ・イタリアの季節がやってきた。とは言っても開幕地はイタリアではなく、遠く離れた北アイルランドのベルファストだ。開幕を翌日に控えた5月8日に行なわれたチームプレゼンテーションの模様をお伝えします。

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2014年の第97回ジロに挑むロット・ベリソルの布陣は、マキシム・モンフォール(ベルギー)、ラルスイティング・バク(デンマーク)、ケニー・デハース(ベルギー)、バルト・ドックス(ベルギー)、アダム・ハンセン(オーストラリア)、サンデル・アルミー(ベルギー)、トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー)、ティム・ウェレンス(ベルギー)、デニス・ファネンデルト(ベルギー)という9名。

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グライペルを欠くロット・ベリソルの目標はマキシム・モンフォール(ベルギー)の総合成績。モンフォールは2011年ブエルタ・ア・エスパーニャで総合6位に入り、昨年ツール・ド・フランスでは総合14位だった。ジロでステージ優勝経験のあるラルスイティング・バク(デンマーク)もメンバー入りしている。

 

そして注目したいのが「鉄人」の異名をもつアダム・ハンセン(オーストラリア)だ。

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ハンセンは2011年のブエルタ・ア・エスパーニャ以降これまで7連続グランツール出場。そして全て完走している。

2年連続でグランツール全完走を果たしており、このジロを完走すれば8連続グランツール完走というとんでもない記録となる。しかも今年もグランツール全出場を予定しているというから驚きだ。

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「別に8回目のグランツールということを意識しているわけじゃない。このジロではまたステージ優勝を狙いたい。そしてそれを実現出来るコンディションにある。むしろ去年よりもコンディションは良いんだ。良い逃げに乗って勝利を狙うよ。もちろんモンフォールをサポートすることも大事な任務。だから金曜日のチームタイムトライアルでは良い走りをしないといけない」と、開幕を前にハンセンは語っている。

 

先頭を切ってグライペルのリードアウトトレインを率いる時もあれば、山岳ステージで上位に入賞することもある。直前のツアー・オブ・ターキーではクライマーに混ざって総合9位に入っている。様々なコースに対応出来るオールラウンダーとして、ここまでタフな選手は他にいない。昨年のジロでは大雨の第7ステージで独走逃げ切り勝利を飾った。

 

屈強な選手であるのと同時に、コンピューターに強く、システムエンジニアとしての経歴ももちあわせる特殊な選手。オリジナルカスタムカーボンシューズを履くなど、いい意味で他の選手とは一線を画している。

 

ハンセン曰く「グランツールの中でジロ・デ・イタリアが最もエキサイティングで、ダイナミック」。そんなハンセンを中心に、ロット・ベリソルの活躍を3週間にわたってお伝えしていきます。

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Report & photo:Kei Tsuji

雨降りのアイルランドを抜け出して、晴れ予報のイタリアへ。

3週間の走行距離は3500kmだが、今年のジロ・デ・イタリアの移動距離は空路(2700km)を含めると7000kmを超えると言われる。移動をいかにストレスなくこなすかが勝利への道筋だ。

 

アイルランドでの3日間はいずれも雨に降られた。プロトンのあちこちで落車が発生し、イタリアの地を踏む前にリタイアする選手も続出。ロット・ベリソルの選手たちは幸い大きな被害を受けることなく、第3ステージ当日に33歳の誕生日を迎えたアダム・ハンセン(オーストラリア)を含めて全員ダブリンにたどり着いた。山岳の厳しさで知られるジロだが、天候によって早くもサバイバルレースの様相を呈している。

『第1ステージ』

14051302.jpg14051303.jpg『第2ステージ』14051320.jpg
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『第3ステージ

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強力なスプリンターを擁していないロット・ベリソルは、第2ステージと第3ステージで逃げに選手を送り込むことに成功。サンデル・アルミー(ベルギー)とバルト・ドックス(ベルギー)がそれぞれ長時間エスケープを続けたが、スプリンターチームの追撃を振り切れずに吸収されている。

 

第3ステージを終えた選手たちに待っていたのが、遠く離れたイタリアまでの移動だ。

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アイルランドとイタリアは(もちろん)海で隔てられており、陸路だとフェリー移動を含めるて2700km。現実的に陸路での移動は難しいため、メカニックたちは第3ステージ終了後に大急ぎでバイクを18台(各選手2台ずつ)パッキングし、休息日に空輸した。

 

選手たちは第3ステージの翌日に空路でイタリア・バーリへ。選手だけでも200名近くおり、そこにチームスタッフや大会関係者が加わる。もちろん大会側が用意したキャパシティは22チーム分(チャーター機を3機も用意!)。そんな大規模なロジスティクスをこなしてしまうところにグランツールの偉大さを感じずにはいられない。

 

チームバスを複数台所有しているロット・ベリソルは、1台をアイルランドに向かわせ、1台をイタリアで待機させた。ちなみにチームカーを合計9台所有しており、アイルランドではその内の3台が走り回っていた。もちろん並行して別のレースも行なわれるため、チームカーやチームバスのやりくりだけで相当な労力を費やす。そんな環境下でも、チームスタッフは文句を言うことなく淡々と仕事をこなしていた。

 

休息日を挟み、大会5日目にジロは本国イタリアで本格始動。引き続きロット・ベリソルの勝利への挑戦にスポットを当てたいと思います。


Report & photo:Kei Tsuji

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