MEDIA FEATURE

ファンライド  2007年6月

文・写真/星野知大 取材協力/ジェイピースポーツグループ


Ronde van Vlaanderen
自転車王国ベルギー探訪
ツール・デ・フランドル 石畳の道


ベルギーの古都ブルージュをスタートし、フランドル地方を巡りながら距離259kmで競われるプロツアーレース“ツール・デ・フランドル”。
コース途中には、ふぞろいな板石が並ぶ石畳(パヴェ)の急坂が9カ所も待ち受け、毎年、世界のトップ選手たちの熱い戦いを見ようと、沿道には数十万人以上もの観客が詰め掛ける。

今回、ベルギーの人気バイクブランド“リドレー”のカンパニーカーに同乗し、コース上&沿道から、レース模様そして地元の人たちの観戦風景をレポートする。


■選手の息遣いを感じるパヴェの上り

「やっぱり、ベルギー選手に勝ってもらいたいね。地元チームのプレディクトール・ロットやクイックステップの動きも注目だし、何と言ってもトム・ボーネンにはベルギー中が期待しているよ」

 レース前日、市民サイクリングのスタート地点に向かうクルマの中で、プレディクトール・ロットが使用するベルギーバイクメーカー“リドレー”のスタッフが、少し興奮気味に話し始めた。

「ボーネンは、日本やアメリカだったら野球のトップ選手みたいな国民的ヒーローなんだ。昨年、一昨年も勝っているから、ぜひ三連覇してほしいね」
 どこの国でも、自国の選手やバイクへの応援には熱が入るものだ。とくに2005年の世界チャンピオンでもあるトム・ボーネン(クイックステップ)の人気は絶大だ。

「沿道には100万人以上の観客が詰め掛けるよ。とくに石畳の上り坂区間は、人波をかき分けるように選手が走っていく絶好の観戦ポイントだよ」
「100万人!?」
 ベルギーの人口が約1000万人だから……単純計算でも10人にひとりは沿道にいることになる(ま、彼は少し大げさに言っているのかもしれないが)。またテレビやラジオでも放送されるというから、ほとんどのベルギー人がレースの行方を見守っているといっても言い過ぎではないのかもしれない。

 自転車レースが国技と言われる自転車王国ベルギー。その中でも、今回、訪れたツール・デ・フランドル(現地のフラマン語では、ロンド・ファン・フラーンデレン)は、UCIプロツールレースでもある、もっともステータスの高い大会だ。

 このレース最大の見所は、コース後半、パヴェと呼ばれる石畳が1~2km続く道が点在するルート。とくに242km地点に出現するミュール(フラマン語で“壁”の意味)などの9カ所の急坂は、(先ほどのリドレースタッフの言う通り)沿道両側に熱狂的な観客が詰め掛け、手を伸ばせば届く距離でプロの走りを目の当たりすることができる。翌日、実際にパヴェの道端に立ち、激坂を駆け上ってくる選手の姿を目撃すると――その迫力、躍動感は圧倒的である。

 トッププロ選手であろうとも、視線はすぐ前方に落としがちで、路面から伝わってくる衝撃の強さで顔を歪めながら慎重にペダルを踏みしめる。フロント・リアともにギヤを落とし、脚とは言わずハンドルを握る腕にも力が加わり、全身の筋肉を躍動させながら力強く駆け上がっていく。選手ひとりひとりの息遣いが、大歓声の中でさえもリアルに耳に届いてくるほどの眼前で、レースが展開されていく。

 レースは、イタリアのアレッサンドロ・バッラン(ランプレ)が、ゴール手前でベルギーのレイフ・ホステ(プレディクトール・ロット)を抜き去り、見事、初優勝を飾った。ベルギー人の期待を一身に集めたボーネンは、この日はいいところなく終わり、12位……ベルギーの自転車ファンは少し寂しそうだったが、それでも壮絶なパヴェの道を走りきった選手たちには、みな惜しみない拍手が送られていた。

 ゴール後、すぐにプレディクトール・ロットのチームトラックに立ち寄り、メカニックに声をかけ、いま走り終えたばかりのリドレーのレースバイクを見せてもらった。石畳で巻き上がった埃がバイク全体を覆い、どこかで擦ったのだろうか……ハンドルには乾いた血が染み込んでいるのが見える。壮絶なパヴェの衝撃が、このバイクからも窺い知ることができる。


距離259km、パヴェの道も快調に走り抜け、勝利は目の前と思われたレイフ・ホステであったが……ゴール手前5mで抜かれ、昨年に続き2位に


パヴェの上りを走るトッププロ選手の姿を見ようと、両側には数多くの観客の波が連なる


ひときわ大きな声援を受け、三連覇の期待がかかっていたトム・ボーネンであったが……


サイクルコンピューターを見て、驚いた。「平均時速40・4km」 世界のトップ選手の脚力、そしてそのパワーを受けて前進するトップロードバイクの性能の高さ、恐るべし


世界チャンピオン、パオロ・ベッティーニ(クイックステップ)のパヴェ激走。世界最強の男をして、この表情。パヴェの衝撃の強さを推し量ることができる


今回、プレディクトール・ロットのチームカーと同カラーに塗られたリドレーのカンパニーカーに同乗。車内から沿道を見ると両側に人が並び、その列はほぼ途切れることなくゴールまでつながっていく


さすがビールの国、ベルギー。ビールメーカーが大会スポンサーになり、沿道の観客はビール片手に、選手たちが通り過ぎた後も日長一日、レースの余韻を楽しむ


今回、不調に終わったボーネンであったが、翌日の新聞はほとんどボーネンの記事ばかり。日本に住んだこともあるリドレースタッフいわく「彼はベルギーのイチローみたいな感じかな」



“ツール・デ・フランドル”市民サイクリング参戦記 最大傾斜19.8%! 石畳の壁に挑む


プロツアーレース“ツール・デ・フランドル”の前日には、プロ選手と同じコースを走る市民サイクリングイベントが開催される。今回、(へっぽこな……)己の脚で、壮絶な石畳の壁に挑み、その衝撃を体験する!

“ツール・デ・フランドル”プロレースの前日に行われる市民サイクリングは、プロ選手と同じ259kmの距離を走るコースと、後半のパヴェの部分を含むルートだけをメインに走る140km、75kmの3コースで実施される(ロードバイクとは一部コースが異なるが、MTBでの参加も可能)。今回ボクはベルギーバイク“リドレー”に乗り、距離75kmの部に参加した。

いちばん短い75kmコースと言っても、●カ所のパヴェを走り、プロレースでも有名なミュールの激坂を通過することになる。さて、ボクも順調に走り続け、いくつかのパヴェをクリアした後、ついにミュールへと到着した。雰囲気のある街中を抜けると次第に道幅が狭くなり、路面が荒れ始める。 断っておくが……石畳と言っても、規則正しく並んでいるわけではない。形の揃わない板石は磨り減り、丸みを帯びて滑りやすくなっている。それも、ひとつひとつの石の間は間隔があり、ロードバイクのタイヤがはまってしまいそうになりながら走ることになる。両手、上半身そして頭へ伝わってくる衝撃は想像以上。ハンドルを握る手にも思わず力が加わり、視線を路面に落としながら、落車しないようにと慎重に進む……と、突然、耳元に大声が響き渡った。

「※∑♀?%&#$!!!!!」

視線を上げると、(プロレースは翌日だというのにも関わらず)すでに道の両脇には観客が並び、熱い声援を送ってくれている(走り慣れたベルギー人サイクリストの中は、75kmや140kmコースで実際に自分の脚でパヴェを走った後、ゴールからミュールへ戻り、ビールを片手に激坂を上ってくる、後からスタートしたサイクリストたちへ声援を送る人もいるという)。まるで、プロ選手にでもなった気分だ。声援に後押しされ、困難な石畳の道を走り切った後の充足感はたまらない。

パヴェを走った翌日――自分の走った石畳の道をプロ選手が走り抜けていくところを見ていると、何かプロレースが身近に感じられる(「いやぁーあそこがキツイんだよ」て、なんか言っちゃって!)。自分で走らなければこんな気持ちにはなれなかっただろうな、きっと」


プロレースでも注目の高いミュールの石畳を激走
ミュール(壁)という名の通り、最大傾斜は19.8%! プロレースでも勝負ポイントとなるこの激坂を走れることが、この市民サイクリング最大の魅力。259km、140km、75kmすべて、この坂を走ることができる


ツール・デ・フランドルのコースを示す標識を発見!
コース途中には、ツール・デ・フランドルのコースを示す標識を見つけることができる。この標識は常にあるので、市民サイクリングイベントのとき以外でもプロツアーレースのコースをツーリングすることが可能


ロードバイク・MTB別に石畳を走るコースが設定
コースには道順を示す看板が取り付けられている。また坂道には順番に番号がふられ、自分がいまどの坂にいるかを把握しながら上ることが可能。インターネットで事前に何番がパヴェかをチェックすることもできる


ボトルも落ちるパヴェ下りコースの衝撃!
上り坂だけでなく、パヴェの本当の衝撃を感じるのは下り坂。スピードの出る下りでの衝撃は壮絶。途中でギヤを変速することもブレーキを握ることもむずかしい。道には、衝撃で落ちてしまったボトルがたくさん転がっている


落ち着いた雰囲気の町々をつなぎゴールをめざす
交通量の多い道はクルマの通行を止め、田舎町や牧草地を走り、ゴールをめざす。コース途中で補給食などを配るエイドポイントもあるが、途中でレストランに立ち寄りビールを飲んでいる人も。さすがビール王国でもあるベルギー!


道両側からの大声援。気分は、まるでプロ選手!
ミュールの激坂では、自転車から降りて歩き出してしまう人もいる。また沿道の観客の中には、ヨロヨロと走っている人を見つけると、背中を押してアシストしてくれる人も。まるでプロレースのような熱い盛り上がりを見せる


おぃ! がんばれ!!(なんて言っているんだろうなぁ~)


このバイクでパヴェを完走!
新たに“プレディクトール・ロット”カラー発売決定 リドレー コンパクト
今回、ツール・デ・フランドルの市民サイクリングには、ベルギーバイクのリドレー コンパクトで参加した。このモデルはベルギー本国でも人気が高く、実際に市民サイクリングの参加者も多く使用していた。さらに、今シーズンから新たに“プレディクトール・ロット”のチームカラーも発売される。プロツアーレースでも活躍するリドレーバイクのチームカラーに乗れば、パヴェのようなハードコースも楽々と走ることができるはず(!?)。

(*スペック)
価格:126,000円 フレーム:Hydro Forming Alloy フォーク:4ZA Fenix 重量:1.3kg(フレーム) サイズ:S、M 問:ジェイピースポーツグループ リドレーJP事業部 Tel075-925-5700
※写真のスペックは欧州販売モデル。日本モデルとは一部、異なります



リドレー メディア特集 に戻る← →ベルギーNo.1バイクブランド“リドレー”本社訪問