「8回連続のグランツール完走だ!次はツール・ド・フランス!」
トリエステで3週間の闘いを終えたアダム・ハンセンがそう宣言した。そう、2011年のブエルタから始まるグランツール連続出場完走は途絶えなかった。

2012年と2013年のジロ、ツール、ブエルタを経て、今年ジロを完走。33歳のハンセンはプロトン最強の鉄人だと言える。連続完走記録ばかりに注目が集まりがちだが、グランツールの出場は実に14回目。ジロは5回目だった。
エースのアシストや、ステージ優勝を狙って逃げに乗る果敢な走りを見せると同時に、プロ選手としてのファンサービスも忘れない。いつもファンを楽しませるTwitter(@HansenAdam)の書き込みだけに留まらず、レース前後やレース中も積極的にファンと交流。ジロに5回出場して昨年ステージ優勝しているのでイタリアでも知名度は高い。
雪が降りしきるステルヴィオ峠の過酷なステージでも笑みを絶やさず、標高差1500mを駆け上がる個人タイムトライアルではファンから受け取ったビールをボトルケージに2本差して走った(レース中にボトルと交換したものと思われる)。

「20代になってから真剣にロードレースを始めたので、まだ12年しか経っていない。チームメイトの中には自分より若い選手がいるけど、競技歴が16年だったりする。遅く始めたので、引退するのも遅いと思う」というハンセンは、今後もグランツール出場を続ける。
目下、次の目標は7月のツール・ド・フランス。もちろんその先のブエルタ・ア・エスパーニャもスケジュールに組み込まれている。つまり3年連続グランツール完走を狙っている。「激しい落車や病気にならない限り、(グランツール連続出場は)あと5年は可能なんじゃないかな」というから驚きだ。

120%ロードレースに没頭することなく、コンピュータープログラミングやカーボンシューズ製作など、様々な趣味の一つとしてロードレースを走っている感のあるハンセン。プロトンの中でこれほど楽しそうにロードレースを走っている選手を他に知らない。ハンセンの挑戦は続く。
